講演会:石ころの男 清水安三物語と中江藤樹
講演会:石ころの男 清水安三物語と中江藤樹
今年度も清水安三先生の生涯と功績を広く知っていただくことを目的に、安三先生の生誕地である滋賀県高島市新旭町で講演会を開催しました。

講師は高見哲也先生です。先生は40数年東映京都撮影所に勤務され、主にテレビ時代劇「水戸黄門」「大岡越前」などの美術監督を担当。その後、滋賀県高島市(旧安曇川町)制作の映画「近江聖人・中江藤樹」の企画制作に参加、プロデューサーと美術監督を務められました。
講演では先ず、映画「近江聖人・中江藤樹」シナリオ準備過程で、もう一人の巨人・清水安三を知ったこと。そして映画制作終了の時に清水安三の映画「仮題:石ころの男 清水安三物語」を作ってみたいと思い、2005年に関係者と話し合いを持ったが制作費用2~3億円が困難で断念された、というエピソードの披露がありました。
高見先生が勤務されていた東映での映画全盛期からテレビ時代へのお話では、
「その時代を反映したナショナル劇場」や「悪人を罰し、正義を尊ぶ心のドラマ」「時代劇では義理と人情を大切にしたもの」が主流で日本人の心にピッタリ合っていた。今は、若い人の心をとる番組ばかりになった、などとお話を頂きました。
そして、中江藤樹生誕400年祭記念映画からのお話として、中江藤樹が世を去って200年後に大塩平八郎が中江藤樹の墓を参拝した。大塩平八郎は、不作に悩む農民の側に立ち上がった。大塩の乱から30年後に明治政府となる。そして明治生まれの清水安三は、朝鮮や中国(志那)に対する差別が激しい第二次大戦前に、貧しい中国・朝鮮の子女のために立ち上がった人物。この3名に共通することは、「差別のない深い愛情と、民衆の側に立って物事を考え行動する人」ではなかったか、と締めくくっていただきました。